欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/11/9

EU情報

欧州委がリサイクル推進の新戦略策定へ、産業界に取り組み強化要請

この記事の要約

欧州委員会はEU全体で廃棄物の再生利用(リサイクル)を推進するための新たな施策を12月に発表するもようだ。EUは2020年までに一般廃棄物の50%をリサイクルするという目標を掲げているが、達成状況は国によってばらつきが大 […]

欧州委員会はEU全体で廃棄物の再生利用(リサイクル)を推進するための新たな施策を12月に発表するもようだ。EUは2020年までに一般廃棄物の50%をリサイクルするという目標を掲げているが、達成状況は国によってばらつきが大きく、現時点でリサイクル率はEU平均で40%程度にとどまっている。新たな施策を通じ幅広い産業分野でリサイクルの取り組みを強化し、持続可能な成長を伴う循環型経済への移行を促す。

ロイター通信が入手した政策文書の原案によると、欧州委は建設業界に対し、建物の取り壊しに際して再利用可能な資材を効率的に回収すると同時に、有害廃棄物を安全に管理できるよう、リサイクル目標を盛り込んだ自主ルールを策定するよう求めている。

一方、食品関連では加工食品の期限表示を見直し、必要以上に短く設定された消費期限のため、実際には安全に消費できる食品が大量に廃棄されている現状を改善する。欧州委は具体策として、消費期限の算定方法や表示方法について共通ルールを策定し、EU全体で食糧廃棄物の大幅な削減に取り組む方針を示している。

政策文書にはこのほか、再利用可能な資源ごみの品質管理を徹底し、リサイクル率を高めるための施策が盛り込まれているもよう。欧州委はとりわけプラスチックのリサイクル率が現時点で平均25%と低く、廃棄されたプラスチックの約50%が埋め立て処分されている現状を問題視している。

欧州委はロイターの取材に対し、政策文書について直接のコメントは控えたが、12月初旬に廃棄物のリサイクル政策について協議することを明らかにした。