仏自動車大手のPSAプジョー・シトロエンは6月19日、モロッコ政府と同国に新工場を建設する計画の合意書を締結した。当該プロジェクトの投資規模は5億5,700万ユーロ。小型車とコンパクトカー(BおよびCセグメント)のエンジンおよび車両を2019年から生産する。国際的な販売成長戦略を推し進めるなかで同グループが歴史的に高い市場シェアを持つアフリカ・中東地域で生産能力を増強し、2025年までに同地域で100万台の販売を目指す。
モロッコ工場のエンジンおよび車両生産能力は当初9万ユニットとし、市場成長に合わせて将来は20万ユニットに引き上げる計画。部品の現地調達率も当初は60%とし、将来は80%に引き上げる計画という。独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、同工場の従業員数は最終的に約4,500人となる見通し。
■ アフリカ・中東地域を第3の販売市場に
PSAはアフリカ・中東地域ではすでにナイジェリアに工場を持つほか、イラン工場の建設について交渉を進めている。『オートモビルボッヘ』紙によると、アルジェリア西部に工場を建設する計画も検討しているという。
北アフリカ諸国はかつてフランスの植民地であった歴史から、プジョーやルノーの仏自動車メーカーが高い市場シェアを確保している。PSAはアフリカ・中東地域を将来、欧州、アジアに次ぐ第3の販売市場に育成する戦略を持つ。
『オートモビルボッヘ』紙によると、モロッコ工場では、中国の提携先である東風汽車公司と共同開発したプラットフォームCMPをベースにしたモデルを生産するもよう。PSAは具体的なモデル名を公表していないが、モロッコのムーレイ・ハフィド・エル・アラミ商工業・投資・デジタル経済大臣が仏メディアに明らかにしたところによると、プジョー「301」とシトロエン「Cエリゼ」の後継モデルを生産する計画という。