2014/1/13

競争法

テレフォニカのEプルス買収に疑義、本格調査を開始=欧州委

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、スペイン通信最大手テレフォニカがオランダ同業KPNの独携帯電話サービス子会社Eプルスを買収する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。ドイツで独自の通信ネットワークを有する大手携帯電話サービ […]

欧州委員会はこのほど、スペイン通信最大手テレフォニカがオランダ同業KPNの独携帯電話サービス子会社Eプルスを買収する計画について、本格的な調査を開始すると発表した。ドイツで独自の通信ネットワークを有する大手携帯電話サービス会社が4社から3社に減ることで、健全な競争が阻害される恐れがあると判断したため。審査期限を3月14日まで延長し、詳細な調査を進めて買収の可否を判断する。

テレフォニカは昨年7月、Eプルスを総額85億5,000万ユーロで買収することで合意していた。Eプルスは加入者2,340万人で、ドイツ3位の携帯電話サービス会社。テレフォニカが傘下の同4位O2とEプルスを統合して誕生する新会社は加入者が約4,300万人となり、ドイツテレコム傘下のTモバイル(加入者3,660万人)、英ボーダフォン(同3,390万人)を抜いて1位に浮上する。

EUは域内主要国の携帯電話サービス市場では、大手4社が競争を繰り広げる状況が好ましいとしている。今回の買収が実現すると、ドイツでは4社から3社に減る。欧州委は初期調査の結果、これによって大手による寡占が進み、サービス料金が引き上げられる恐れがあるほか、自前で回線や設備を持たない仮想移動体通信事業者(MVNO)へのホールセール・サービスでもMVNO側の選択肢が狭まるとして承認を見送り、改めて詳細な調査を実施することに決めた。

欧州委は2012年、香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアが仏通信最大手フランステレコム傘下の携帯電話サービス会社オレンジのオーストリア部門「オレンジ・オーストリア」を買収し、オーストリア子会社「ハチソン3G(H3G)」と統合する計画を決めた際、H3Gが持つ周波数を新規参入する事業者に低価格で売却することや、オーストリア当局が実施する周波数追加割り当ての入札で、新規事業者に優先権を与えることなどを条件に認可した経緯がある。今回のケースでも、テレフォニカは買収認可を取り付けるため同様の措置を迫られそうだ。