欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/2

EUその他

GEのアルストム重電部門買収、欧州委が疑義

この記事の要約

欧州委員会は2月23日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が仏アルストムの重電部門を買収する計画について、本格的な調査を開始したと発表した。初期審査でガスタービン部門での競争上の問題が浮上したことから承認を見送り、詳細な […]

欧州委員会は2月23日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が仏アルストムの重電部門を買収する計画について、本格的な調査を開始したと発表した。初期審査でガスタービン部門での競争上の問題が浮上したことから承認を見送り、詳細な調査を行う。7月8日までに買収の可否を最終判断する。

GEは昨年6月、アルストムの重電部門を約124億ユーロで買収することで合意していた。当初はエネルギー部門をすべて買収する予定だったが、三菱重工業・独シーメンスの連合との争奪戦に発展し、仏政府も介入したことから、買収はガスタービンを中心とする一部にとどめ、原子力など3部門は折半出資の合弁会社に移管することになった。

欧州委が問題視しているのは、ガス火力発電などに使われる大容量ガスタービン部門。買収によってGEが欧州規格の50Hz発電用ガスタービンで約50%のシェアを握ることや、同分野がGE、シーメンス、三菱日立パワーシステムズの3強体制となることで価格・技術革新の競争に悪影響を及ぼし、顧客の選択肢も減る恐れがあると判断し、本格調査の実施に踏み切った。

GEは欧州委の決定について、「ガスタービン市場は高度の競争状態にあり、懸念があるとは思えない」とコメントしている。