2011/11/16

総合・マクロ

ユーロ圏債務危機、中東欧の銀行に影響懸念

この記事の要約

ユーロ圏の債務危機が、中東欧の銀行に与える悪影響が懸念されている。西欧の銀行が本体の資本増強に注力するため、中東欧の子会社に資金を供給する余力を失う可能性があるためだ。\ 中東欧の銀行業界は、約4分の3を伊ウニクレディト […]

ユーロ圏の債務危機が、中東欧の銀行に与える悪影響が懸念されている。西欧の銀行が本体の資本増強に注力するため、中東欧の子会社に資金を供給する余力を失う可能性があるためだ。

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中東欧の銀行業界は、約4分の3を伊ウニクレディトや墺エルステ・グループ銀行など西欧の金融機関が握っている。欧州復興開発銀行(EBRD)は先ごろ、西欧の銀行による東欧部門支援が細り、「与信の伸びを圧迫」する可能性が高いと指摘した。

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欧州連合(EU)は先月、欧州の銀行が保有するソブリン債の評価額を引き下げた後の資本増強の基準として、狭義の中核的自己資本比率を12年6月30日までに9%以上とすることを決めた。バークレイズ・キャピタルの新興市場通貨担当エコノミスト、ケラー氏は、自己資本比率の引き上げが銀行に「バランスシートの縮小」を促す可能性があると指摘する。EUの銀行監督当局である欧州銀行監督機構(EBA)によれば、中東欧最大の貸し手であるウニクレディトは73億8,000万ユーロ、2位のエルステは5,900万ユーロ、3位の墺ライフアイゼン銀行は19億ユーロの追加資本がそれぞれ必要となる見通しだ。

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中東欧の貸出の伸び率は10%を切っており、2007~08年のピーク時に3分の1以下に減速している。ハンガリー最大手銀行OTPバンクのヴォルフ副最高経営責任者(CEO)は、競合銀行の資本不足から、来年の国内の法人融資は横ばいあるいは減少すると予測する。同氏は、「外資銀行が資金豊富であり、外資の傘下にあれば資本力に問題がないという考えは今日では幻想にすぎない」と指摘する。ロイヤルバンクオブスコットランドの新興国担当アナリスト、アッシュ氏は、外国銀行は今後もリスク回避の姿勢をとり続けると予測。これにより融資に今後一層消極的になり、その結果、中東欧経済の成長ペースはますます鈍化するとの見方を示している。

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