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2011/11/16

チェコ・スロバキア

チェコ送電会社CEPS、独との国境にPST設置検討

この記事の要約

チェコの国営送電会社CEPSは、ドイツとの国境付近の電力系統に位相調整変圧器(PST)を設置することを検討している。ドイツの風力発電所で発電された電力によって、送電網に過大な負荷がかかることを回避するため。ボルディシュ取 […]

チェコの国営送電会社CEPSは、ドイツとの国境付近の電力系統に位相調整変圧器(PST)を設置することを検討している。ドイツの風力発電所で発電された電力によって、送電網に過大な負荷がかかることを回避するため。ボルディシュ取締役(エネルギー取引・対外関係担当)が3日、明らかにした。

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ドイツでは北部と南部を結ぶ高圧送電網の容量が少ないことから、北部の風力発電所で発電した電力を、チェコやポーランドの送電網を経由して南部に送っている。しかし、風力発電は発電量が天候や気候に左右され非常に不安定であることから、突発的な流入量の増加に備えて、常に送電網に余力を残しておかなければならないという問題がある。また、ポーランドはドイツ国内の送電に自国の送電網が利用されることに不満を募らせており、ドイツからの電力をブロックするため国境にPSTを導入する計画を進めている。この計画が実現すれば、ドイツからチェコに送られる電力が増加し、チェコの送電網の負荷が増大することが予想される。ボルディシュ取締役によると、ポーランドの送電システムはチェコ比べ脆弱なため、PSTの導入は不可避と見られる一方、ドイツでは北部と南部を結ぶ高圧送電網の整備に見通しが立っていない。同取締役は、「このままではチェコの送電網がダウンしかねなない状態だ」と述べ、近く株主である政府にPSTの設置を要請する考えを明らかにした。設置費用は最低でも20億コルナで、その倍以上に膨らむ可能性もあるとしている。(1CZK=4.06JPY)

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