2014/3/12

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ソーシャルメディアサイトの禁止も=トルコ・エルドアン首相

この記事の要約

トルコのエルドアン首相は6日、民放ATVのインタビューで、今月30日の地方選挙後に交流サイト「フェイスブック」と動画投稿サイト「ユーチューブ」をめぐる規制を強める考えを示した。国内からのアクセス禁止も視野に入れる。ただ、 […]

トルコのエルドアン首相は6日、民放ATVのインタビューで、今月30日の地方選挙後に交流サイト「フェイスブック」と動画投稿サイト「ユーチューブ」をめぐる規制を強める考えを示した。国内からのアクセス禁止も視野に入れる。ただ、首相の人気は低下傾向にあり、地方選での勝利が実行に向けた第一のハードルとなる。

大規模な汚職疑惑などを背景に首相への批判が高まる中、トルコでは先月以降、ソーシャルメディアで首相のものとされる電話録音が次々に公開されている。首相は一部の録音を本物と認めたうえで、息子に収賄で得た巨額の闇資金を隠すよう指示したとされる会話については「編集による偽造」だと発言した。また、真偽にかかわらず、違法な盗聴だと強く非難した。首相はこの陰に、自らの政敵で米国に住むフェトゥフッラー・ギュレン氏の存在があるとみている。

エルドアン首相はこのような「悪用」を防ぎ、「トルコ国民を守る」ためにフェイスブックなどの禁止が必要とみる。ギュル大統領はこれに対し、世界中で利用されていこれらのサイトの禁止は「問題外」としたが、個々の違法コンテンツは禁止できるとの立場を示しており、政治による締め付けが強まることは十分にありうる。

その前提となるのが地方選での与党勝利だ。首相は自らの率いる公正発展党(AKP)が第一党にならなければ首相を辞任、2009年の前回地方選挙の得票率(38.8%)に届かなければ政界から身を引くと宣言している。

トルコのネット規制は新しい話ではない。2008年から10年にかけては、「建国の父」ケマル・アタテュルクを侮辱したビデオが公開されたとしてユーチューブへのアクセスが禁止された。また、先月、欧州連合(EU)などの批判を押し切って成立したインターネット法では、電気通信当局に「違法」コンテンツを消去する権利を認めている。裁判所の事後承認が必要とされているが、司法の独立が確立されておらず、事実上、その妥当性をチェックする機関は存在しない。

独立系の全国紙、テレビ・ラジオ放送局が存在しないトルコでは、ソーシャルメディアの政治的役割が大きい。デモの組織でもネットを通じて参加を呼びかけるのが通例となっている。