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2014/4/30

チェコ・スロバキア

ハンガリー石油大手MOL、伊エニのチェコ・ガソリンスタンド網を買収

この記事の要約

ハンガリー石油大手のMOLが伊エニからチェコのガソリンスタンド網を買収する。代価としてイタリア北部のマントヴァ製油所とイタリアのガソリンスタンドの一部をエニに譲渡する見通しだ。チェコ経済紙『ホスポダルスケ・ノヴィニー』が […]

ハンガリー石油大手のMOLが伊エニからチェコのガソリンスタンド網を買収する。代価としてイタリア北部のマントヴァ製油所とイタリアのガソリンスタンドの一部をエニに譲渡する見通しだ。チェコ経済紙『ホスポダルスケ・ノヴィニー』が23日、複数の消息筋の情報として伝えた。

MOLはすでにチェコで「パプ・オイル」ブランドと「スロブナフト」ブランドのガソリンスタンドをそれぞれ125店、24店運営する。エニが持つ「アジップ」ガソリンスタンドを取得するとその数は合計273店に急増し、PKNオルレングループの「ベンジナ」(340店)に次ぐ2位に躍り出る。

『ホスポダルスケ・ノヴィニー』によれば、エニの燃料小売事業は赤字採算。ポーランドPKNオルレンとの合弁会社チェスカ・ラフィネルスカも利益を出しておらず、エニは売却に動いている。

一方、MOLは「経済環境の悪化」を理由にマントヴァ製油所の閉鎖を計画していたという。同製油所は重質原油の処理を専門に行っており、年間処理能力は260万トンに上る。

チェコで営業するガソリンスタンド数は3,700店を超え、供給過剰状態だ。さらに闇取引が横行して合法的な販売店の経営を難しくしている。すでに英BP(アラル)、米国のエクソンモービル(エッソ)、コノコフィリップス(JET)などが石油小売市場から撤退した。独立系石油業界企業団体SCSのインドラーチェク会長は、石油小売市場3位の蘭シェルや5位の墺OMVを含め、今後も撤退が続くと予測している。