ロシア鉄鋼大手のセベルスタリが米国から撤退する。最後に手元に残っていた2製鉄所を米国の同業2社に総額23億2500万米ドルで売却する。セベルスタリが22日明らかにした。
ミシガン州ディアボーン製鉄所をAKスチールに7億ドルで、ミシシッピー州コロンバス製鉄所を約16億3,000万ドルでスチール・ダイナミックスに売却する。年内に手続きが完了する見通しだ。
セベルスタリは2003年に自動車産業の需要を見込んで米国に進出した。しかし、輸入拡大で国産品のシェアが縮小。08年の金融危機が厳しい経営に追い打ちをかけ、09年に9億ドルの減価償却を余儀なくされた。
このため、セベルスタリは同国資産の再編を開始。11年にはメリーランド州スパローズポイント、オハイオ州ウォレン、ウエストバージニア州ウィーリングの3製鉄所を手放した。
さらに、今月15日には石炭事業(PBSコールズ)をカナダの炭鉱会社コルサ(Corsa)・コールに1億4,000万ドルで譲渡すると発表した。今回の2製鉄所売却で撤退が完了する。
ウクライナ情勢をめぐる欧米とロシアの緊張が高まる最中の米国撤退となったが、市場アナリストらはその主因が経営戦略の変更にあるとみている。ただし、外交関係悪化が最終的な売却の決定を後押しした可能性は否定できないようだ。(5月14日号「セベルスタリ、米国製鉄所の売却を検討=米紙報道」を参照)