2014/12/3

総合・マクロ

ロシア、サウス・ストリーム計画中止

この記事の要約

天然ガス世界最大手のロシア国営ガスプロムのミレル社長は1日、訪問先のトルコで、ウクライナを迂回して欧州に天然ガスを運ぶサウス・ストリーム・パイプラインの建設計画を凍結すると発表した。天然ガスの生産事業と輸送事業の分離を求 […]

天然ガス世界最大手のロシア国営ガスプロムのミレル社長は1日、訪問先のトルコで、ウクライナを迂回して欧州に天然ガスを運ぶサウス・ストリーム・パイプラインの建設計画を凍結すると発表した。天然ガスの生産事業と輸送事業の分離を求める欧州法に抵触している疑いで、関係国から敷設工事の許可が下りないためだ。ロシア政府は代わりに、トルコ政府と共同でオフショア・パイプラインの建設を進めるとしている。

直接の障害となったのは、ブルガリアでの準備作業の中止。6月に当時の左派中道政権が欧州連合(EU)と米国政府の圧力に屈し、建設作業を凍結した。続いて、10月の前倒し選挙で、ロシア主導のエネルギー開発に慎重なボリソフ氏が首相に返り咲き、再開の可能性がさらに小さくなった。

ロシアはドイツに次ぐ天然ガス顧客であるトルコとの関係強化を図っている。アンカラで1日開かれた定例首脳会談にはプーチン大統領をはじめ、外務、エネルギー、法務、交通、労働、経済開発各省の大臣や高官が参加した。プーチン大統領は来年からトルコ向け天然ガス価格を6%引き下げ、年間供給量は30億立法メートルに拡大すると発表。両国間の貿易高を2023年までに1,000億米ドルへ3倍化する方針を示している。

(東欧経済ニュース6月11日号「ブルガリアとセルビア、サウス・ストリームの着工延期」、6月4日号「欧州委、ブルガリアに違反調査手続き開始を予告」2013年12月11日号「露主導のガスパイプライン計画、通過国との二国間協定を欧州委員が問題視」を参照)