2015/6/10

コーヒーブレイク

死亡率が5.2%増加~ロシア

この記事の要約

ロシアの死亡率が上昇している。連邦統計局(ロススタット)によると、今年1-3月期の死亡者数は50万7,000人で前年同期より2万3,500人増えた。人口減を勘案すると、死亡率は5.2%上昇したこととになる。 死因別にみる […]

ロシアの死亡率が上昇している。連邦統計局(ロススタット)によると、今年1-3月期の死亡者数は50万7,000人で前年同期より2万3,500人増えた。人口減を勘案すると、死亡率は5.2%上昇したこととになる。

死因別にみると、呼吸器疾患が22%の大幅な増加を示した。消化器系疾患(10%増)、感染症(6.5%増)、循環器病(5%増)も増加が目立つ。一方で、乳幼児死亡率と自殺・他殺を含めた外因死は減少した。

専門家は3カ月間のデータだけでは、今後の予測・増加の理由は難しいと慎重な立場だ。

ロシア大統領府経済行政アカデミー(RANEPA)のティンディク調査員は、経済危機や医療改革との関連性は「現時点では見当たらない」と説明する。不景気時には、都市部に住む就業年齢の男性の死亡数が大きく増加するが、その影響が出るまでには通常、もっと時間がかかる。また、医薬品の値上がりが続いて医療水準が低下すれば、高年齢層の死亡率が上昇するはずと話す。

一方で、別の理由として、一般的に寿命が延びたことがあるかもしれないという。以前だったら70歳前後で亡くなっていた人が年を取り、80代を迎えて黄泉に旅立ち始めたというわけだ。

ロシア高等経済大学院人口問題研究所のザハロフ副所長も似た考えだ。もっとも死亡率が高い70~75歳の人口は他の年齢層に比べて少ない。これら1940年代生まれの世代は間もなく50年代生まれの世代にとって代わられる。50年代生まれの人口は多く、実数として死亡数が増えることは十分ありうるという。

人口問題研究所のアンドレイエフ調査員は、死因統計の分析に注意が必要と指摘する。慢性病の医療体制が改善した結果、複数の死因が考えられる場合に、検死医が急性疾患を死因と特定することが多くなったためだ。その傍証として、感冒・流感の合併症の一つである呼吸器疾患の増加を挙げている。