2015/8/26

自動車

ルーブル安、ロシア自動車メーカーを圧迫

この記事の要約

ロシアの自動車産業がルーブル安に苦しんでいる。輸入部品価格の高騰を受け国内販売価格の引き上げを強いられると共に海外での価格競争力を失いつつあるためだ。 ロシアの国内市場は最近の原油安とウクライナ危機を受けた欧米の制裁措置 […]

ロシアの自動車産業がルーブル安に苦しんでいる。輸入部品価格の高騰を受け国内販売価格の引き上げを強いられると共に海外での価格競争力を失いつつあるためだ。 ロシアの国内市場は最近の原油安とウクライナ危機を受けた欧米の制裁措置による景気の悪化で販売が減少し、自動車メーカーは苦境に陥っている。

欧州ビジネス協会(AEB)によると昨年後半から同国における自動車販売台数は急減し、2012-13年のピーク時に比べ半減した。今年上半期の販売台数は前年同期から36%減少している。背景にはロシアで生産する自動車メーカーの輸入部品への依存度が高く、ルーブル安を受けてドル建て又はユーロ建ての輸入部品価格が大きく上昇したことがある。また、同国の実質GDPは15年第2四半期に前年同期比4.6%減となり、6年ぶりのマイナス成長となった第1四半期の2.2%減から下げ幅が拡大。上昇するインフレ率と合わせて消費者の購買力の減退を招いている。

一方15年上半期のロシアからの自動車輸出台数は4万9,000台と前年比27%の減少となった。輸入部品の価格高騰により国内生産企業がコスト競争力を失ったためだ。例えば独フォルクスワーゲン(VW)と米フォードの場合、ロシアで生産される自動車に使われる部品の半数を輸入に頼っている。またロシアの国産ブランド車「ラーダ」も部品全体のうち5分の1は輸入部品だ。そのためルーブル安の影響は大きく、今年上半期における自動車の国内平均販売価格は前年比で18%上昇し、販売台数の低下につながった。

こうした現状に対し政府は自動車メーカーに国内生産を促すためのインセンティブを導入するなどしているが、高価で技術水準が高い部品については輸入に頼らざるを得ないのが現状だ。

マツダ車を販売する現地ディーラー、ロルフ・ヒムキ氏は「ルーブル安はメーカーのコストを上昇させる。今後さらに価格を上乗せせざるを得ない場合にはメーカーは大きな問題に直面することになるだろう」と述べた。

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