2015/9/16

ハンガリー

ハンガリー、セルビア国境を完全閉鎖

この記事の要約

ハンガリー政府は14日、セルビアとの国境を完全に閉鎖した。不法入国者を数日以内に国外退去させることを認める改正移民法と合わせ、難民の不法越境を防ぐ目的だ。改正移民法では「安全な第3国」から越境した者に最長3年の懲役刑を課 […]

ハンガリー政府は14日、セルビアとの国境を完全に閉鎖した。不法入国者を数日以内に国外退去させることを認める改正移民法と合わせ、難民の不法越境を防ぐ目的だ。改正移民法では「安全な第3国」から越境した者に最長3年の懲役刑を課すことも認められており、人権団体などは「難民の入国を犯罪化するもの」と強く批判している。

政府は「従来通り、亡命申請を受理する」としながらも、セルビアからの入国者は「まずセルビアで申請手続きを行わなければならない」と説明する。その根拠が今年7月成立し、15日に発効した改正移民法だ。

同法では、亡命申請者が「安全な第3国」を経由してハンガリーに入国した場合、政府に申請を却下する権限を認めている。「安全」かどうかはハンガリーが独自に決めることになっており、ウクライナを除く隣国は全て「安全」認定を受けた。このため、国内法上は、これらの国から越境した外国人を審査作業を経ずに国外退去させることができる。国際連合や人権団体は、セルビアを「安全」とすることに疑念を示している。

シリアやイラクなどからの避難者の多くはドイツやスウェーデンへの移住を希望している。このため、ギリシャからマケドニア、セルビア、ハンガリー、オーストリアを経由して北上する「バルカンルート」が難民の主要ルートとなってきた。

ハンガリーは難民の流れをストップする目的で移民法を改正し、セルビアとの国境に全長175キロメートルのフェンスを建設してきた。最後まで残っていたフェンスの切れ目の閉鎖が予告された14日には、およそ9,000人の難民がここを通じてハンガリーに入国。難民の欧州流入が始まって以来、最多を記録した。(東欧経済ニュース7月8日号「ハンガリー、難民受け入れを事実上停止」を参照)