自動車大手の独フォルクスワーゲン（VW）が米トラック大手パッカーの買収に向けて準備を進めているとの発言を、競合ダイムラーのヴォルフガング・ベルンハルト取締役（トラック事業担当）がアナリスト向け説明会で行っていたことが3日、明らかになった。VWは同発言内容を明確に否定している。競合企業の計画について観測を述べることはタブーとされており、ベルンハルト取締役の意図をめぐり憶測が飛び交っている。
同取締役は2日ベルリンで開催された説明会で、複数の信用できるソースからの情報としてVWがパッカーを来年にも買収するとの見方を示した。ダイムラーの広報担当者はメディアの問い合わせに、ベルンハルト取締役は業界再編の可能性に関する質問に答えたに過ぎないと回答。また、米トラック大手のパッカーとナビスターがVWの買収標的になっているとの報道は以前から行われており、取り立てて新しい観測ではないとの見方を示した。
バーンスタイン・リサーチのアナリストはロイター通信に、トラック業界の再編を目指すVWの取り組みを妨害するのがベルンハルト取締役の狙いではないかとの見方を述べた。VWは自社の商用車部門と子会社MAN、スカニアの3者による商用車連合の実現を目指している。パッカーを傘下に収めれば、米トラック市場に参入し、商用車事業のグローバル化を大幅に推し進めることができる。
