賃貸住宅に入居した時点で壁の汚れや備品の傷などが修復されていない場合も入居者に原状回復義務があるかどうかをめぐる係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は18日、そうした義務はないとの判決を下した(訴訟番号:VIII ZR 185/14、VIII ZR 242/13、VIII ZR 21/13)。判決理由で裁判官は、以前の入居者が修復しなかったことで発生した問題を大家が次の入居者に転嫁することは次の入居者にとって著しく不利で認められないとの判断を示した。
ドイツの賃貸契約には通常、汚れや傷を修復したうえで物件を大家に返還することを入居者に義務づける条項が含まれている。ただ、近年はベルリンなどの大都市で、修復されていない物件を新しい入居者に賃貸するケースが増加。これら新入居者が退去する際に大家が修復を要求しトラブルが発生している。今回の判決はこうした現状を踏まえて下されたもので、独賃貸住宅入居者連盟は歓迎の意を表明した。