ドイツ銀行が子会社ポストバンク(フランクフルト)を含むリテール事業の分離・上場を検討している。資産を圧縮することで今後厳しくなる銀行の自己資本規定に対応する狙い。同行は計3つのシナリオを検討しているものの、リテール事業の分離・上場案は最も有力なようだ。各種メディアが消息筋の情報として22日報じた。広報担当者はコメントを控えたものの、新戦略を第2四半期に公表することを明らかにした。
同行はリテール事業の分離・上場のほか、(1)ポストバンクをドイツ銀に完全統合する(2)ポストバンクを売却する――ことも検討している。ただ、(1)を実施するとボンにあるポストバンク本社が廃止され大規模な人員削減が避けられなくなるため、従業員代表やサービス労組Verdiの大きな抵抗が予想される。資産圧縮効果も期待できない。(2)は低金利を背景にリテール市場が低迷している現状では売却損の計上が避けられない見通しだ。
一方、リテール事業の分離・上場であれば人員削減を比較的小規模にとどめられるうえ、新設されるリテール銀行が独自に事業を展開しやすくなるメリットもある。
ポストバンクを含むリテール事業の顧客数は2,700万人。資産の規模は3,500億~4,000億ユーロとみられ、同事業を分離するとドイツ銀の資産規模は約1兆億ユーロに圧縮される。
同行は経営資源を大企業向け事業と富裕層向け事業に絞り込む可能性が高い。