独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は2月1日、「MQB(Modularer Quer Baukasten)」と呼ばれる新たな生産システムの概要を明らかにした。幅広いモデルで部品を共通化できるほか、複数のグループブランドのモデルを同時に生産できるため、コスト削減効果が高く、生産効率も向上する利点がある。2012年にはMQB方式で生産したアウディ「A3」と7代目「ゴルフ」を発売する予定。
\MQBは横置きエンジンを搭載した前輪駆動車向けの生産システム。同システムを採用するモデルはエンジンの位置と前車軸とアクセルペダルの間隔などが固定されているが、ホイールベースの長さやトラック(車輪の間隔)が異なるモデルを同じラインで生産できる。VWによると、MQBはセグメント「A0」~「B」までを対象とし、例えば、「ポロ」「ビートル」「ゴルフ」「シロッコ」「ジェッタ」「ティグアン」「トゥーラン」「シャラン」「パサート」および「パサートCC」の生産に導入できる。
\VWはMQBの導入に向けて2種類の新たなエンジンシリーズを開発した。ガソリンエンジンの「EA211」ンシリーズは出力40kW/60PS~110kW/150PS、ディーゼルエンジンの「EA288」シリーズは出力66kW/90PS~140kW/190PSとなっている。
\独技術情報サイト『ATZオンライン』によると、MQBの導入により、組み立て時間を半分に短縮でき、将来は1本の生産ラインで年50万台以上を生産できるようになるという。また、VWは今後5年間で、VWグループが販売する200モデルのうち約40モデルにMQBを採用する方針を示している。
\MQBでは、生産コストを低減できるため、安全システムやインフォテイメントなどの標準装備を拡充できる利点がある。アウディ「A3」と7代目「ゴルフ」では例えば、二次衝突を防止する自動ブレーキシステムなどが装備されている。二次衝突は最初の衝突後にスピードが落ちていない車両がさらに衝突を繰り返す事故で、VWの安全システムでは、時速10キロメートル以上で自動ブレーキがかかる。
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