ドイツの自動車大手ダイムラーと部品大手のボッシュの協力関係が以前に比べ希薄化している。2005年のリコール問題で両社の関係が悪化した経緯があるほか、電気自動車(EV)向けの新たな部品やシステムの開発で、ダイムラーとボッシュが競合する分野が出てきたことも背景にある。9月1日付の独経済紙『ハンデルスブラット』が報じた。
\ダイムラーは、EV向けリチウムイオン電池の開発で独化学大手のエボニックと提携し、パワーエレクトロニクスはボッシュの競合であるコンティネンタルから調達している。また、電気モーターはベルリン工場で内製する計画だ。
\一方、ボッシュはEV関連部品の開発で特定の自動車メーカーと提携する戦略を避け、韓国サムスンの子会社サムスンSDIとリチウムイオン電池の生産で合弁会社を設立した。同合弁会社では、ダイムラーの競合であるBMWから受注を獲得している。
\『ハンデルスブラット』紙によると、EVの開発で両社が別々の道を歩むことになった背景には、2005年にディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプに不具合が見つかった際に、ダイムラーが欠陥部品を納入したメーカーとしてボッシュの名前を公表し、両社の関係が悪化したことがある。ダイムラーは部品メーカーの責任を明確に示すことで、ブランドイメージの悪化を避けようとしたとみられている。ボッシュはそれまで、エアバッグやアンチロックブレーキシステム(ABS)、横滑り防止プログラム(ESP)などの最新技術をメルセデス・ベンツの「Sクラス」などに優先して供給してきた。しかし、ダイムラーがリコール問題の後に、新型エンジン「OM651」の部品調達先をボッシュから米デルファイに変えたことで両社の関係はさらに冷えていった。燃費改善に寄与するアイドリングストップ機能ではボッシュのシステムをBMWがダイムラーに先行して搭載することになった。
\ダイムラーにとって、ボッシュは現在も重要なサプライヤーであるものの、以前のような親密な関係は失われてしまったようだ。
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