2010/2/1

競争法

蘭INGが欧州委を提訴へ、公的資金返済時の条件めぐり

この記事の要約

オランダの金融・保険大手INGグループは1月28日、欧州委員会との間で合意した再建計画に関する条件のうち、オランダ政府から受けた支援規模の評価を不服として第一審裁判所に提訴する方針を明らかにした。政府もINGによる法的手 […]

オランダの金融・保険大手INGグループは1月28日、欧州委員会との間で合意した再建計画に関する条件のうち、オランダ政府から受けた支援規模の評価を不服として第一審裁判所に提訴する方針を明らかにした。政府もINGによる法的手続きを支援する意向を示している。

\

INGは金融危機の影響で急速に経営が悪化し、2008年に政府から100億ユーロの資本注入を受けた。同グループは昨年10月、2013年までに保険部門や資産運用部門を分離し、事業規模を大幅に縮小して再建を目指す方針を打ち出したが、その際に75億ユーロの増資を併せて発表し、公的資金の半分を返済する意向を表明した。資本注入時の契約によると、INGは返済時に50%を上乗せすることが条件になっていたが、政府は最終的に、09年末までに公的資金の一部を返済すれば割増分を5億ユーロに減額する方針を決定。INGの返済額は当初予定より20億ユーロ少ない55億ユーロで収まった。

\

欧州委は昨年11月にINGに対する公的支援策を正式に承認したが、その際、50億ユーロの返済にかかる割増分の差額20億ユーロが政府による新たな補助金にあたると指摘。同グループに対する資金支援は総額120億ユーロと認定し、INGに返済計画を練り直すよう指示した。

\

INGは「オランダ政府との間で合意した返済額に対する上乗せ分の減額を新たな国家補助と認定した欧州委の決定に対し、INGは異議を申し立てる」との声明を発表。オランダ財務省も声明を出し、金融市場の安定化に向けてINGの早期再建を図ることが最大の関心事であり、返済の条件を緩和したことは正当な措置だったと強調している。欧州委のトッド報道官はこれに対し、オランダ政府は当初の条件を堅持すべきだったとし、改めて差額分の20億ユーロはINGに対する追加的な補助金にあたると指摘。「法的にみて欧州委の判断は100%完璧なものだ」とコメントした。

\