2013/2/4

環境・通信・その他

欧州裁がライアンエアーに補償命令、10年春の噴火による欠航で

この記事の要約

2010年4月にアイスランドで火山が噴火し、火山灰の影響で欧州航空網が大混乱に陥った問題で、欧州司法裁判所は1月31日、アイルランドの格安航空会社ライアンエアーに対し、欠航で何日も足止めされた乗客への補償を命じる判決を言 […]

2010年4月にアイスランドで火山が噴火し、火山灰の影響で欧州航空網が大混乱に陥った問題で、欧州司法裁判所は1月31日、アイルランドの格安航空会社ライアンエアーに対し、欠航で何日も足止めされた乗客への補償を命じる判決を言い渡した。補償請求に期限はないとしており、ライアンエアーは今後、他の乗客からも補償を求められる可能性がある。

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アイスランドの火山噴火では欧州の主要空港がすべて閉鎖され、10万便以上が欠航して800万人以上が影響を受けた。大手航空会社はEUが2004年に導入した航空旅客に対する補償ルールに基づいて乗客からの補償請求に応じたが、ライアンエアーは運賃を払い戻しただけで宿泊費や食事代の請求にはほとんど応じなかった。

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今回の事案は旅行先のポルトガルで運航再開まで5日間足止めされ、アイルランドへの帰国が予定より7日間遅れた女性客が自国でライアンエアーを提訴し、アイルランドの裁判所が欧州裁に判断を求めていたもの。ライアンエアー側は10年の火山噴火は予測不能な「非常事態」であり、運賃返却以外の補償義務は免除されると主張していた。

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欧州裁は判決で、たとえ火山噴火のような非常事態で欠航を余儀なくされた場合でも、補償義務が免除される「特別な例外的状況」は存在しないと指摘。すべての航空会社は乗客の宿泊場所や食事を確保しなければならないとして、ライアンエアーに対し、原告に1,330ユーロを支払うよう命じた。

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ライアンエアーは判決を受けて声明を発表し、改めて「火山噴火は完全に航空会社のコントロールが及ばない非常事態」と強調。「裁判所が示した判断によって欧州ではフライトのコストが増大し、結果的に乗客が支払う運賃に跳ね返ることになる」と警告している。同社は「将来の補償リスク」に備えるためと称して、11年春から航空運賃に一律2ポンドを上乗せする措置を講じている。

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