2013/2/4

環境・通信・その他

EUでネットの違法薬物取引が横行、監視センターなど指摘

この記事の要約

欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)と欧州刑事警察機構(ユーロポール)が共同でまとめた年次報告書が1月31日に公表され、EU市場ではインターネットを介してあらゆる種類の違法薬物が取引されている実態が明らかになっ […]

欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)と欧州刑事警察機構(ユーロポール)が共同でまとめた年次報告書が1月31日に公表され、EU市場ではインターネットを介してあらゆる種類の違法薬物が取引されている実態が明らかになった。報告書は物流のハブとなっている英国、オランダ、ベルギー、北フランスが欧州における違法薬物の「最終目的地」になっていると指摘し、EUに対して国際的な犯罪組織による薬物の密輸・販売を阻止するための取り組みを強化するよう勧告している。

\

報告書によると、EU諸国とノルウェーでは推定で年間2,750トン、金額にして180-300億ユーロ相当の大麻が消費されている。また、EUでは取り締まりの難しい合成薬物の流通量が急速に増加しており、今後も新規薬物が増えるとみられている。一方、グローバル化とIT技術の進歩によってインターネットで販売される違法薬物については追跡がますます難しくなっており、統計もなく実態が把握できていない。

\

ユーロポールのウェインライト長官は会見で「実質的にどんな種類の薬物もインターネットで入手できるようになっており、消費者は密売人と接触しないですむオンライン取引の方が『クリーン』だと考える傾向がある」と指摘。EMCDDAのゲッツ長官は「複数の薬物を同時に使用したり、ある薬物が手に入らなくなると別の薬物で代用するなど、消費パターンも徐々に変化している」とつけ加えた。

\

欧州委員会のマルムストロム委員(内務担当)は報告書を受け、「加盟国がばらばらに対策を講じても十分な効果は期待できず、EUが一体となって取り組みを強化する必要がある」と指摘。報告書の内容を吟味して、新規薬物の監視強化などEUレベルで必要な措置を検討する意向を示している。

\