2013/12/2

環境・通信・その他

新型ガソリン直噴エンジン、PM排出量は悪化=独研究所

この記事の要約

ドイツのハノーバーに拠点を置く独立系の研究機関TUeVノルドはこのほど、欧州で普及の進んでいる新型ガソリン直噴エンジンは従来型のガソリンエンジンに比べ、発がん物質をはじめとする人体に有害な粒子状物質(PM)の排出量が1, […]

ドイツのハノーバーに拠点を置く独立系の研究機関TUeVノルドはこのほど、欧州で普及の進んでいる新型ガソリン直噴エンジンは従来型のガソリンエンジンに比べ、発がん物質をはじめとする人体に有害な粒子状物質(PM)の排出量が1,000倍に上るとの実験結果を公表した。コスト上の理由で電気自動車や燃料電池車の本格的な需要が当面見込めないなか、ガソリン直噴エンジンは次世代自動車用エンジンの主流になると目されている。しかし、実験結果を受け、PM除去フィルターの搭載義務化などディーゼル車と同様の規制が適用される可能性もある。

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新型のガソリン直噴エンジンは無駄な燃料消費を抑える目的で設計されており、温室効果ガスの大幅な排出削減を実現している。欧州委員会が最近まとめた調査報告書によると、自動車の排出ガス規制が強化されるなか、欧州では2020年までに域内で販売されるほぼすべてのガソリン自動車に直噴エンジンが搭載されるとみられている。

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しかし、TUeVノルドの論文によると、新型ガソリン直噴エンジンは世界保健機関(WHO)の分類で人体に有害とされるPMの排出量が従来型のガソリンエンジンのおよそ1,000倍に上り、新型ディーゼルエンジンとの比較でも約10倍と高くなっている。これは燃料のガソリンをシリンダー内に高圧で直接噴射するため、粒子が発生しやすくなると考えられる。

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EUでは2014年9月から直噴ガソリンエンジンについてもPMが規制要件に加わるが、ディーゼル車と異なりフィルター搭載は義務化されていない。実験結果について、ブリュッセルに本拠を置く環境団体トランスポート&エンバイロメント(T&E)の環境対応車担当マネジャー、グレッグ・アーチャー氏は「欧州の主要都市では自動車が大気汚染の最大の原因になっており、欧州市民の90%が有害なレベルのPMに曝されている。PMさえ排出しなければ、燃費効率に優れ、二酸化炭素(CO2)排出量の少ないガソリン直噴エンジンは偉大なイノベーションといえるが、粒子はフィルターを搭載することで容易に除去することができる」と指摘している。

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