欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/19

総合 – 欧州経済ニュース

伊ナポリターノ大統領が辞任、月内に後任選出へ

この記事の要約

イタリアのナポリターノ大統領(89)が14日に辞任した。ナポリターノ氏は昨年末のテレビ演説で、高齢を理由に近く辞任する意向を表明していた。当面はグラッソ上院議長が大統領代行を務め、月内に上下両院議員と州の代表で構成する合 […]

イタリアのナポリターノ大統領(89)が14日に辞任した。ナポリターノ氏は昨年末のテレビ演説で、高齢を理由に近く辞任する意向を表明していた。当面はグラッソ上院議長が大統領代行を務め、月内に上下両院議員と州の代表で構成する合同会議で次期大統領を選出するための投票が行われる見通し。イタリアでは若年層の失業率が40%を超えるなど深刻な不況が続いている。後任選びが難航すれば政局が不安定化して構造改革に支障をきたす恐れがある。

ナポリターノ氏は2006年に大統領に就任。2013年5月の任期満了に伴い退任する予定だったが、同年2月に実施された総選挙後の連立協議が頓挫して新政権が発足できない事態に陥り、新大統領の選出も難航。2カ月近く続いた政治空白を終わらせるため、中道左派と中道右派による大連立政権の発足を条件に、同年4月に続投の要請に応じる形で再任された経緯がある。大統領の再任は1948年の憲法制定後、初めてだった。

大統領は首相指名や議会解散の権限を持つため、レンツィ首相にとってベルルスコーニ元首相率いるフォルツァ・イタリアを含めた超党派の支持を得られる候補を擁立できるかどうかが鍵となる。ローマの社会科学国際自由大学(LUISS)のロベルト・ダリモンテ教授は「ナポリターノ氏の例が示すように、政局が不安定な時ほど大統領の役割が重要になる」と指摘。次期大統領は議会解散の決断を迫られる公算が大きいとの見方を示し、「調整能力にすぐれ、憲法に精通した人材が望ましい」と述べている。