欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/20

西欧

米製薬大手アッヴィ、シャイアー買収を撤回

この記事の要約

米製薬大手アッヴィは15日、アイルランド同業シャイアーを買収する計画を撤回したと発表した。両社は7月、総額320億ポンド(約5兆4,600億円)での買収で合意したが、米企業による節税目的での本社海外移転を米政府が規制した […]

米製薬大手アッヴィは15日、アイルランド同業シャイアーを買収する計画を撤回したと発表した。両社は7月、総額320億ポンド(約5兆4,600億円)での買収で合意したが、米企業による節税目的での本社海外移転を米政府が規制したことから、買収効果が薄れたとして、合意を破棄する。

シャイアーは希少病医薬品に特化した製薬会社。アッヴィは売上高の6割を稼ぎ出すリウマチ性関節炎治療薬「ヒュミラ」の特許が2016年に失効することから、収益基盤を拡大するため同社の買収を決めたが、税務登録地を法人税が低い英国に移すことによる節税効果も大きな動機だった。

しかし、米政府は9月、節税のため買収・合併を通じて本社を国外に移転する動きが相次いでいることから、こうした行為の規制を強化した。このためアッヴィは、同規制によってシャイアー買収に「許容範囲を超える不透明性」が生じ、合意した買収額に見合った効果が期待できないとして、計画の撤回を決めた。これに伴って、シャイアーに違約金として約16億4,000万ドルを支払う。