2010/6/16

チェコ・スロバキア

スロバキア総選挙で中道右派が過半数、政権交代へ

この記事の要約

スロバキアで12日、議会総選挙(定数150)が実施され、中道右派4党が合計で過半数の議席を確保した。フィツォ首相率いる与党「方向党(Smer)」は最多議席を獲得したものの、4党はSmerとの協力を拒否。政権交代が濃厚だ。 […]

スロバキアで12日、議会総選挙(定数150)が実施され、中道右派4党が合計で過半数の議席を確保した。フィツォ首相率いる与党「方向党(Smer)」は最多議席を獲得したものの、4党はSmerとの協力を拒否。政権交代が濃厚だ。

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同国統計局によると、投票率は58.8%で、前回2006年の議会選より約4%高い水準。Smerは得票率で34.8%、議席数は62と選挙前に比べ勢力を伸ばしたが、現在連立を組む国民党(SNS)が9議席に減り、「民主スロバキア擁護運動(HZDS)」が得票率5%を超えられず議席を失うなど低迷。一方、中道右派勢力は「民主キリスト教連合(SDKU-DS)」が28議席、「自由と連帯(SaS)」が22議席、「キリスト教民主運動(KDH)」が15議席、ハンガリー人政党の「架け橋(MOST-HID)」が14議席となり、計79議席に達した。

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選挙結果を受け、首相任命権を持つガシュパロビッチ大統領は第一党となったSmerにまず組閣を要請すると表明。フィツォ党首も連立内閣の成立に意欲を示している。ただ、議会過半数の支持を得られる見込みがない場合、組閣の権利は他党に移る。中道右派4党は「財政規律を失い、国粋主義的な政策を推進している」と現政府を痛烈に批判、選挙前からSmerとの協力を拒否する姿勢を明らかにしており、SDKU-DSを中心とした新政権の誕生が有力視される。

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スロバキアは2002~08年まで年4~10%の高い経済成長を記録。だが、09年はこれまでの経済成長をけん引した外国直接投資(FDI)が流出超に転じ、経済成長率もマイナス4.7%に落ち込んだ。フィツォ内閣は09年の財政赤字を当初国内総生産(GDP)比で2.1%としていたものの、歳入の大幅縮小で同6.8%に膨張。これを補うため、政府は今年、過去最大となる80億ユーロの国債発行を計画する。

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こうした状況をギリシャ問題に直面する市民が懸念し、高福祉政策の継続を主張する現与党を敬遠したと指摘する声が多い。SDKU-DSは1998~2006年の与党時代に国家資産の売却を進め、フラット税制を導入するなどビジネス環境を整備。独フォルクスワーゲンや韓国・起亜など大型の投資の呼び込み、経済成長の基盤を作った実績もある。同党のRadicova党首は「スロバキアを再び“欧州の虎”としてよみがえらせる」と経済再建を約束。財政赤字が一定水準以上に膨らむことを阻止する新法を制定する考えも示唆した。

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