中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2011/11/9

ロシア

ロシアは贈賄の横綱=TI調査

この記事の要約

主要経済国28カ国の企業のうち、ロシア企業が国外で最も賄賂を贈る傾向にあることが、世界各国の汚職を監視する非営利団体、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の調べで分かった。2位は中国、3位はメキシコだった。T […]

主要経済国28カ国の企業のうち、ロシア企業が国外で最も賄賂を贈る傾向にあることが、世界各国の汚職を監視する非営利団体、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の調べで分かった。2位は中国、3位はメキシコだった。TIでは、新興国の重要性が高まるなか、このような「商慣行」を広めないよう注意を呼びかけている。

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TIのパンフィロヴァ・ロシア支部長は今回の「贈賄ランキング」の結果について、ロシア国内でも汚職が蔓延している事実を挙げて「驚くに値しない」と話す。国内の贈賄は、10年前は「任意」だったが、最近では「強制的」なものになっている。本来無料のはずの手続きに公務員が料金を請求したり、企業の事業許可に報酬を要求したりするケースが後を立たないという。

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ロシアでは今年5月に国外での贈賄行為を禁止する法律が成立したり、企業が倫理規定を整備したり、メドベージェフ大統領が汚職防止を重点政策に挙げるなど、法令順守に向けた取り組みが進んでいるようにみえる。しかし、実態は旧態依然のようだ。

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アーンスト&ヤングCISのダニリン氏は、「ロシアの経営幹部で『コンプライアンス(法令順守)』を理解していない人は約70%に上る。また、納税を除いて『コンプライアンス』を重視していない人は70%を超える」と指摘する。外に対して汚職対策をアピールしている企業でも、社内で実効性のある措置をとっているところはないという。

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TIの贈賄ランキング調査は、世界30カ国の企業の経営幹部3,000人を対象に行われた。自国で活動する外国企業が賄賂を贈る傾向が強いか弱いかを国別に点数で評価してもらい、これを指数化した。主要経済国28カ国は、輸出・国外直接投資の大きさを基準に選んだ。28カ国で世界のFDIの70%を占める。

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贈賄行為が最も少ないのはオランダとスウェーデン。ベルギーが3位でこれに続いた。日本はドイツと同位の4位だった。しかし、TIでは「全く清潔な国は一つもない」と注意をうながしている。また、2008年の前回調査と比べても全体として改善は認められないとしている。

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