2011/11/9

チェコ・スロバキア

チェコ・スロバキア自動車産業、好調持続もドイツの需要後退に懸念

この記事の要約

最も重要な取引先であるドイツの需要にかげりが出ているものの、チェコとスロバキアの自動車製造業界はまだまだ好調だ。両国とも、メーカーは増産に動いており、生産台数の最高記録を次々に塗り替えている。\ スロバキアのジリナでは起 […]

最も重要な取引先であるドイツの需要にかげりが出ているものの、チェコとスロバキアの自動車製造業界はまだまだ好調だ。両国とも、メーカーは増産に動いており、生産台数の最高記録を次々に塗り替えている。

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スロバキアのジリナでは起亜自動車が来年春までに3交代制に移行する方針で、1,000人の新規採用を行っている。フォルクスワーゲン(VW)も今年8月からブラチスラバ工場で新型コンパクトカー「アップ」の生産を開始。同工場での年産台数を昨年の14万4,000台から今年は20万台に、2012年には40万台に引き上げる目標を堅持している。同工場ではアップのほか、「トゥアレグ」とアウディ「Q7」を生産する。また、ポルシェ「カイエン」の車体製造も手掛ける。

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唯一、好調といえないのがトルナバに工場を構える仏PSAグループだ。先ごろ、欧州における経済の緊迫と社会不安を理由に、先月28日から今月18日までの期間に9日間、操業を停止すると発表した。ただ、ウィーン国際経済比較研究所(WIIW)のハンツルヴァイス氏は「これが業界の不振の前触れなのかどうかはわからない」と話しており、今後の見通しは不透明だ。

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チェコでは現代自動車が東部のノショビツェ工場で755人増員し、第3シフトを導入した。VWグループのシュコダ自動車も今年は販売台数の2ケタ成長を見込む。

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ドイツにおける自動車の売れ行きが鈍れば、チェコとスロバキアが打撃を受けるのは確実。WIIWによると、スロバキアでは工業生産に占める自動車産業の比率が21%、チェコでは19%、ハンガリーでも18%に上る。輸出に占めるドイツの比率も高く、内需が低迷する中で自動車・輸出産業に依存する経済運営の弱さが懸念の種だ。

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チェコのフネル副通産相は、安定した製造業を維持するには、自動車産業の比率をこれ以上増やしてはいけないと警鐘を鳴らしている。

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