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2014/7/9

総合・マクロ

墺エルステ銀が通期予想を大幅下方修正、14億~16億ユーロの赤字転落へ

この記事の要約

中東欧7カ国で事業を展開する墺銀行大手エルステ・グループ(ウィーン)は3日、2014年通期決算の最終損益が14億~16億ユーロの赤字に転落するとの見通しを明らかにした。ハンガリーとルーマニア事業で貸倒引当金を大幅に積み増 […]

中東欧7カ国で事業を展開する墺銀行大手エルステ・グループ(ウィーン)は3日、2014年通期決算の最終損益が14億~16億ユーロの赤字に転落するとの見通しを明らかにした。ハンガリーとルーマニア事業で貸倒引当金を大幅に積み増すため。14年2月末時点では「営業利益で前期並みの31億ユーロプラスマイナス2%」との見通しを示していた。13年通期の最終損益は6,100万ユーロの黒字だった。

ハンガリー事業の見通しが急速に悪化したのは、同国の最高裁が6月16日、外貨建て住宅ローンで銀行が金利引き上げなどのローン契約条項を一方的に変更することは不当との判決を下したためだ。裁判官は判決で、貸し付けの際と毎月の返済額を計算する際に異なる為替レートを適用する銀行の商慣行は不当であり、貸付・返済ともハンガリー国立銀行の公式為替レートを適用しなければならないと指摘。ハンガリー政府はこれを受け、外貨建て住宅ローン債務者の救済措置を加速させる方針を表明した。エスルテはこれを踏まえ、今期の貸倒引当金を当初見通しの17億ユーロから24億ユーロに引き上げた。

ルーマニア事業は不振が続いており、エルステが実施した企業価値評価(自己査定)で最大8億ユーロの減価償却が必要なことが判明した。

このほか、オーストリア、ハンガリー、スロバキアで課税される銀行税が計2億ユーロに達することも追い打ちとなる。