2014/11/5

総合・マクロ

ルーマニア大統領選、16日に決選投票

この記事の要約

ルーマニアで2日、バセスク大統領の任期満了に伴う大統領選挙(任期5年)が行われ、与党連合候補のヴィクトル・ポンタ首相(42)が約40%を得票しトップとなった。ただ、選出に必要な過半数に満たなかったため、野党の中道右派・国 […]

ルーマニアで2日、バセスク大統領の任期満了に伴う大統領選挙(任期5年)が行われ、与党連合候補のヴィクトル・ポンタ首相(42)が約40%を得票しトップとなった。ただ、選出に必要な過半数に満たなかったため、野党の中道右派・国民自由党が推すシビウ市長のクラウス・ヨハニス候補(55)と16日の決選投票を戦う。

中央選管が開票率98.3%時点で発表した主要候補の得票率は、ポンタ首相が40.3%で1位。2位のヨハニス候補は30.4%だった。投票率は前回の大統領選挙とほぼ同水準の53.2%。

16日の決選投票は、生活水準の向上を約束するポンタ首相と、司法の独立実現を公約するヨハニス候補の一騎打ちとなる。

ルーマニアはEU加盟後も依然として汚職対策、司法制度改革の強化が大きな課題となっている。先月には、前閣僚9名が国内の学校向けに米マイクロソフト社の製品ライセンスを市場価格より高値で購入し、業者よりわいろを受け取っていたと報じられた。この汚職疑惑の中にはポンタ首相の名前も浮上しており、同国の汚職対策局(DNA)が調査を進めている。それにもかかわらず同首相が最多得票を確保した背景には、消費者物価の上昇を適正水準に抑えながら経済成長を維持してきた実績などが評価されたもようだ。

決選投票に向けてポンタ首相は引き続き賃金・年金の増額による生活水準の引き上げを公約に掲げる。一方のヨハニス候補は現在の与党連合体制では司法の独立を確保できないとして、支持を訴えていく方針だ。

今回の選挙は、ハンガリーなど近隣諸国で民主主義に逆行する動きが出ていることや、欧州連合(EU)とロシアの関係悪化を受けて、同国の政治的立ち位置を左右する試金石とみられている。最近の景気減速や汚職問題もあり、新大統領に求められる役割は重い。