2014/11/5

総合・マクロ

ウクライナ東部情勢緊迫化、親ロ派の独自選挙強硬で

この記事の要約

ウクライナ東部で2日、親ロ派勢力が独自選挙を強行したことで、和平プロセスが中断する懸念が浮上している。ポロシェンコ大統領は、選挙をミンスク停戦協定に違反する行為として強く非難した。欧米諸国も違法として、その正当性を認めな […]

ウクライナ東部で2日、親ロ派勢力が独自選挙を強行したことで、和平プロセスが中断する懸念が浮上している。ポロシェンコ大統領は、選挙をミンスク停戦協定に違反する行為として強く非難した。欧米諸国も違法として、その正当性を認めない姿勢を明らかにしている。また、ドイツ政府はロシアが選挙を支持していることを受けて、制裁強化の可能性を指摘した。

ウクライナ政府と親ロ派勢力が9月に調印したミンスク停戦協定では、和平の道筋として、親ロ派支配地域に3年間の高度な自治権を認めるとともに、東部2州でウクライナ法に基づく地方選挙を来月7日に実施することが定められていた。しかし、親ロ派はドネツクとルガンスクの両「人民共和国」で独自に「議会」および「大統領」を選ぶ選挙を強行。候補者は親ロ派で占められ、武装勢力のトップが過半数票を得て当選したと発表された。

ポロシェンコ大統領はこの選挙を「茶番」とし、自治権を認める法律の撤回も検討する姿勢だ。

また、メルケル独首相は3日、ロシア外務省が選挙の正当性を認める声明を発表したことに対し、「ロシアも承認した停戦協定に反する行為を(同国が)支持するのは理にかなっていない」と批判。ロシアが分離派を支援することで東部の状況が悪化すれば、欧州連合(EU)による対ロ制裁強化もあり得るとけん制した。

ロシア外務省はこれに対し、「制裁はロシア人の団結を強める効果しかない」として、欧米が制裁でロシアの行動を変えることはできないとの見解を示した。