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2014/1/15

総合 - ドイツ経済ニュース

独自動車メーカーが好調、VWやBMWなどが販売記録更新

この記事の要約

ドイツの乗用車メーカーが好調だ。足元の欧州市場は債務・経済危機の影響でなお低迷しているものの、事業のグローバル化が順調に進んでいるため、アジア、アメリカ地域で業績が大きく拡大。フォルクスワーゲン(VW)グループとBMW、 […]

ドイツの乗用車メーカーが好調だ。足元の欧州市場は債務・経済危機の影響でなお低迷しているものの、事業のグローバル化が順調に進んでいるため、アジア、アメリカ地域で業績が大きく拡大。フォルクスワーゲン(VW)グループとBMW、ダイムラーは昨年も販売記録を更新した。米ゼネラル・モーターズ(GM)の欧州子会社オペルは長年続いた低迷に歯止めがかかっている。

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VWグループの2013年販売台数(大型トラックのMANとスカニアを除く)は前年比4.8%増の950万台に達し、これまでに引き続き過去最高を記録した。販売台数が最も大きく伸びた地域はアジア・太平洋で、14.7%増の364万台に拡大。主力の中国(香港を含む)は16.2%増の327万台となり、競合GM(11.4%増の316万台)を抜いて9年ぶりに1位となった。中国市場では3位の現代自動車が162万台(16.0%増)にとどまっており、当面はVWとGMの一騎打ちが続きそうだ。

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VWグループは北米販売も5.6%増の88万8,800台と好調だった。主力の米国は2.6%増の61万1,700台。南米最大のブラジルは12.6%減の68万2,200台と振るわなかった。

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欧州は0.5%減の365万台とやや後退した。主力ブランドのVWとアウディが市場低迷の影響を受けた格好。ただ、高級ブランドのポルシェは4.4%増加。低価格帯ブランドである西セアトも好調で、ドイツと英国の販売台数はそれぞれ20.3%、17.0%拡大した。

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VWはトヨタ自動車とGMを抜いて世界最大手になることを目指しており、目標実現に向けて好調な中国販売台数を18年までに400万台に拡大するほか、これまで手薄だったアメリカ大陸と東南アジア事業も強化する意向だ。

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メルセデスは欧州でも販売増に

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一方、高級車の世界市場でトップ争いを繰り広げる独3社に目を向けると、順位は昨年と変わらず、1位がBMW(ミニ、ロールスロイスを含む)、2位がアウディ、3位がダイムラー(メルセデスとスマート)だった(グラフを参照)。BMWの販売台数は2位のアウディに水をあけており、しばらくはトップを維持する見通し。

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3社のなかで伸び率が最も大きかったのはダイムラーで9.7%に達した。新モデル攻勢が奏功した格好で、主力ブランドのメルセデスに限ると増加幅は10.7%に上った。

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BMWグループとアウディ、メルセデスの販売台数を地域別でみると、アジア太平洋と中国はすべて2ケタ台の伸びを確保した(次ページの表を参照)。中国は3社にとってドイツを凌ぐ最大の市場となっている(BMWはグループの独販売台数を公表していないが、独陸運局への新車登録台数は27万台未満で、中国販売台数32万6,000台を下回る)。3社の米国販売も前年実績を上回った。アウディとメルセデスは2ケタ増を確保している。

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メルセデスは低迷する欧州市場でも約6%のプラス成長となった。今後はBMWとアウディに大きな後れをとる中国市場での拡販の取り組みが大きなカギを握りそうだ。

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オペルは姉妹ブランドのボクソールを含めた販売台数が昨年、横ばいの106万4,000台にとどまったものの、欧州市場シェアは前年の5.59%から5.61%へと上昇し、14年ぶりに拡大へと転じた。1年前に市場投入したコンパクトカー「アダム」の受注台数(累計)は約5万5,000台に達し、当初予想を上回ったとしている。小型SUV「モッカ」も人気が高い。

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