2014/3/31

産業・貿易

中国のレアアース輸出制限めぐる紛争、WTOがEU・日米に軍配

この記事の要約

EUと日本、米国が中国によるレアアース(希土類)の輸出制限を不当として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は26日、訴えを認める裁定を下した。EUはレアメタル(希少金属)の輸出制 […]

EUと日本、米国が中国によるレアアース(希土類)の輸出制限を不当として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は26日、訴えを認める裁定を下した。EUはレアメタル(希少金属)の輸出制限をめぐる対中提訴に続く勝訴となる。

中国は自動車、家電、兵器など多様なハイテク製品に欠かせないレアアースの世界産出量の約97%を占める最大の資源国。中国政府は2009年からレアアースと高融点金属のタングステン、モリブデンの輸出に数量制限や特別税を設け、海外への供給を厳しく制限した。資源保全、環境保護のため必要という主張だ。

これに対してEUと日米は、中国国内への供給が制限されていないことから、資源・環境保護という言い分は通らないと批判。国内企業を不当に優先する措置で、WTO協定に違反するとして、2012年3月に提訴していた。

WTOのパネルは、EUと日米の主張を全面的に認め、中国の輸出制限を協定違反と認定した。中国は同裁定を不服とする場合、60日以内にWTOの上級委員会に上訴することができる。

中国はボーキサイト、コークスなど9種類のレアメタルの輸出も制限したが、EUが米国、メキシコとともに提訴し、2012年に勝訴が確定した。レアアース輸出制限問題も同様の構図であることから、今回の裁定は予想通り。