2014/3/31

産業・貿易

中国製通信設備めぐる紛争も終結へ、EUが反ダンピング調査取り下げ

この記事の要約

欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は27日、中国製の携帯電話サービス向け通信設備をめぐる反ダンピング(不当廉売)調査を開始しないことを決定したと発表した。中国との通商紛争の解決が進んでいることを受けたもの。中国製通信設 […]

欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は27日、中国製の携帯電話サービス向け通信設備をめぐる反ダンピング(不当廉売)調査を開始しないことを決定したと発表した。中国との通商紛争の解決が進んでいることを受けたもの。中国製通信設備の反補助金問題についても調査開始を見送り、交渉での解決を目指すとしている。

欧州委は昨年5月、中国の華為技術、中興通訊(ZTE)などが携帯電話向け通信設備を政府の補助金を後ろ盾にして不当な廉価でEU市場に輸出している疑いがあるとして、補助金調査の開始を検討していることを明らかにした。ただし、当時は中国製太陽光パネルのダンピング問題などをめぐる同国との通商紛争が激化していたことから、これらの交渉での切り札として温存し、正式な調査開始は見送ってきた。

双方の通商紛争は、最大の焦点だった太陽光パネルに関する問題で昨年に合意したことを契機に沈静化に向かっており、中国は報復措置として実施していたEUのワイン、太陽光パネル向け多結晶シリコンに対する反ダンピング、反補助金調査の中止を先週に決定。これに応じて欧州委は、通信設備の反ダンピング問題を終結させた。

欧州委は中国の通信設備メーカーが政府から多額の補助金を受けていることに関しては依然として問題視している。しかし、デフフト委員は調査開始を凍結し、6月または7月にEU本部で行う中国側との協議での問題解決を目指す意向を表明した。

中国がEUに輸出する通信設備は年間10億ユーロを超える。欧州委はこれに対する反ダンピング措置の発動をちらつかせることで、他の問題での中国側の歩み寄りを引き出し、通商紛争の過熱を抑えるという戦略が奏功した格好だ。