欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/1

EU産業・貿易

監査役会の女性比率を3割に、ドイツが16年から義務付けへ

この記事の要約

ドイツ連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は11月25日、大手企業に対し監査役会で女性役員が占める割合を30%とすることを義務付ける「クオータ制」を導入する法案で合意した。法案は11 […]

ドイツ連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は11月25日、大手企業に対し監査役会で女性役員が占める割合を30%とすることを義務付ける「クオータ制」を導入する法案で合意した。法案は11日に閣議決定され、2016年から施行される見通し。

クオータ制が義務付けられるのは、共同決定法の適用対象となる上場企業のうち最大手の108社。女性が選出されなければ空席は維持しなければならないが、定員以下の場合でも監査役会の決定は有効となる。このほか自主的なクオータ制として、約3,500社を対象に監査役会、取締役会、幹部等における女性比率の引き上げに向けた目標設定を求める。シュヴェーズィヒ家庭相は今回の合意について、「職場の文化改革を促すものだ」と歓迎するコメントを発表した。クオータ制の導入は連立協定に盛り込まれた公約のひとつだが、CDUの一部議員や経済団体が企業への負担となり経済に悪影響を与えるとして、一部業種の適用除外を求めていた。

ドイツ経済研究所(DIW)の調べによると、今年6月末時点で主要な株式指数であるドイツ株価指数(DAX)を構成するフランクフルト証券取引所の主要上場企業30社の取締役会に女性が占める割合はわずか7%、監査役会でも25%にとどまっている。

クオータ制を世界に先駆けて導入したノルウェーは、03年にまず国営企業や複数州で活動する企業を対象に取締役は男女ともに40%以上とすることを義務付けた。05年には上場企業も対象となり、遵守できない場合は企業名の公示や企業の解散などの制裁が科される。欧州ではスペイン、イタリア、ベルギー、アイスランド、フランス、オランダでも同様に法律でクオータ制を義務付けている。欧州議会は13年11月、EU域内の大手上場企業の女性役員比率を20年までに40%に引き上げる指令案を賛成多数で可決。閣僚理事会で審議している。