欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/9

EU産業・貿易

EUと中国が通信分野で協力強化、5G技術で連携

この記事の要約

欧州委員会は3日、ブリュッセルで中国と欧州の大手金融・IT企業15社の首脳を招いて会合を開き、ハイテクや通信などの分野での協力拡大に向けた意見交換を行った。 会合にはEU側からアンシプ副委員長(デジタル単一市場担当)、カ […]

欧州委員会は3日、ブリュッセルで中国と欧州の大手金融・IT企業15社の首脳を招いて会合を開き、ハイテクや通信などの分野での協力拡大に向けた意見交換を行った。

会合にはEU側からアンシプ副委員長(デジタル単一市場担当)、カタイネン委員(経済・通貨担当)、モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表が出席。企業側は中国銀行、中興通訊(ZTE)、中国移動通信など中国大手企業のほか、フィンランドのロビオ・エンターテイメントなどの欧州企業が参加した。

会合では、EUのデジタルインフラやサービスへの中国企業の投資促進が主要議題となり、EUが表明している総額3,150億ユーロの大型投資計画への中国企業の参加を合弁事業や官民パートナーシップ(PPP)といった形で積極的に促していくことで一致した。この投資計画は昨年11月に発足した新欧州委員会が看板政策に掲げているもので、交通、エネルギー、通信、教育、研究開発などのインフラ整備プロジェクトを対象としている。加盟国が財政緊縮を余儀なくされていることで公共投資が縮小する中、民間資金を活用して投資プロジェクトを推進し、景気を浮揚するのが狙いだ。

会合参加者はさらに、次世代移動通信システムである「5G」の開発で協力することに合意。EUと中国が高度な技術や市場規模といった強みの活用で連携することにより、「将来の5Gモバイルの世界市場で主要な戦略的プレゼンスを確立する」と意欲を示した。欧州は90年代、無線通信方式のひとつであるGSMの技術で世界をリードしていたが、4G通信網の導入では米国やアジアに遅れをとっている。このため、昨年6月には高速移動通信網の整備で先行する韓国と5G通信技術で韓国と連携を発表するなど、通信分野で巻き返しを図っている。