欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/30

総合 – 欧州経済ニュース

EUとトルコ、関税同盟の拡大を検討

この記事の要約

欧州連合(EU)とトルコが通商強化に向けて、関税同盟の拡大を検討している。23日付けの英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたもので、サービス、農業、公共調達などを新たに適用対象に含める方向で調整を進める方針だ。 EU […]

欧州連合(EU)とトルコが通商強化に向けて、関税同盟の拡大を検討している。23日付けの英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたもので、サービス、農業、公共調達などを新たに適用対象に含める方向で調整を進める方針だ。

EUとトルコの関税同盟は1996年に発効。これによって自動車、繊維など製品分野の貿易が促進され、EU企業のトルコへの投資が増加した。ただ、EUが他の国・地域と締結した自由貿易協定に含まれる幅広い分野が適用外となっているため、効果は限定されている。

EUは関税同盟の拡大に前向きだが、トルコはEU加盟を通じて貿易自由化を実現したい問う立場で、加盟交渉を優先してきた。しかし、加盟交渉が停滞し、正式加盟の目途は立っていない。このため、消息筋がFTに明らかにしたところによると、双方は高官レベルで、関税同盟拡大に乗り出すことで合意したという。中東の過激派組織「イスラム国(ISIS)」への対応をめぐって悪化しているEUとトルコの関係の改善を図るという思惑もあると見られている。

消息筋によると、関税同盟拡大に向けた正式協議は2016年夏以降に開始される見込みで、EUの欧州委員会は年内に影響評価を実施する予定だ。ただ、協議開始にはEU加盟国の承認が必要。トルコがEU加盟国であるキプロスを国家承認していないことが大きな障害になるのは必至で、仏、伊、ギリシャなどが農業分野の関税障壁が撤廃されると自国の農業が打撃を受けるとして反発することも予想され、協議開始にこぎ着けるか不透明な情勢だ。