欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/1

総合 – 欧州経済ニュース

オーストリア財務相が辞任、税制改革めぐる党内摩擦で

この記事の要約

オーストリアのシュピンデルエッガー副首相兼財務相は8月26日、辞任を発表した。税制改革問題で自身が率いる国民党(OVP)から十分な支持が得られなかったためで、OVP党首の座も退く。 シュピンデルエッガー氏は昨年12月、フ […]

オーストリアのシュピンデルエッガー副首相兼財務相は8月26日、辞任を発表した。税制改革問題で自身が率いる国民党(OVP)から十分な支持が得られなかったためで、OVP党首の座も退く。

シュピンデルエッガー氏は昨年12月、ファイマン首相率いる社会民主党(SPO)とOVPの連立政権の財務相に就任した。ファイマン政権は成長戦略の一環として減税を打ち出しているが、シュピンデルエッガー氏は緊縮財政による財政再建を最優先すべきだとして難色を示したため、連立パートナーのSPOだけでなくOVPからも批判の声が高まっていた。シュピンデルエッガー氏は会見で、党内の多くの有力政治家が緊縮財政路線に背を向け、借入金を増やして減税財源を賄う税制改革を主張する「ポピュリズム路線に走っている」と批判。「党には結束が必要だ。もはや結束がないのであれば、身を引く時が来たということだ」と辞任理由を語った。

シュピンデルエッガー氏の後任には、ミッテルレーナー経済相が就任する見通し。ただ、OVP内では党首、財務相、副首相を一人が兼任するのは適当ではないとの声も出ている。なお、ファイマン首相は、2018年に予定される次回総選挙までOVPとの連立を維持する方針を示している。

オーストリアは失業率が5%とEU加盟国中最も低く、財政赤字も13年は対国内総生産(GDP)比で1.5%と低水準だ。ただ、政府債務残高は昨年末時点で対GDP比74.5%、今年は80%近くに膨らむ見通しとなっており、債務圧縮が課題となっている。