2011/5/11

ロシア

米ワーナー、ロシア出身の実業家が33億ドルで買収

この記事の要約

世界第3位の音楽大手である米ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)が、ロシア出身の実業家であるレン・ブラヴァトニク氏の投資会社、アクセスインダストリーズに買収されることが決まった。契約価格は33億米ドル。1株あたり8 […]

世界第3位の音楽大手である米ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)が、ロシア出身の実業家であるレン・ブラヴァトニク氏の投資会社、アクセスインダストリーズに買収されることが決まった。契約価格は33億米ドル。1株あたり8.25ドルに負債19億9,000万ドルを加えた額となる。取引はすべて現金で行う。業界関係者の間では、WMGによる競合EMIグループの買収合併に向けた布石とする見方が早くも浮上している。

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株主の承認を経て、7-9月期に手続きが完了する予定だ。その後、ニューヨーク証券取引所での上場を廃止し、事業の建て直しを図る。株主変更に伴う経営陣の入れ替えはない。

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ワーナー・ミュージックは2010年9月通期の最終損失が1億4,300万ドルに上り、前期に比べて43%も膨らんだ。11年3月中間期も5,600万ドルの損失を計上した。安価な音楽ダウンロードや不正コピーの横行といったデジタル社会の現実を踏まえ、事業を再建する必要に迫られている。

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ブラヴァトニク氏は1984年に米国籍を取得。保有資産は100億ドルに上り、3月に発表されたフォーブズ世界長者番付で80位につける。04年にタイムワーナーからWMGを買収したエドガー・ブロンフマン社長とは長年の交友があり、すでにWMG株の2%を保有する。07年にはブロンフマン社長の持ち家を12年前の購入価格の11倍にあたる5,000万ドルで買収した経緯がある。

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アクセスインダストリーズは、露アルミ大手のルサールや米石油化学大手ライオンデルバゼルなどに出資している。メディア企業では、露Amedia、北欧移動通信サービス企業ice.net、英トップアップTVなどを傘下におさめる。

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メディア報道によると、WMGの買収には20社を超える企業が関心を示していた。最終選考にはアクセスインダストリーズのほか、ソニー/グッゲンハイムパートナーズ/ロン・ペレルマン氏の連合と、ゴアス兄弟のプラチナムエクイティ/ゴアズグループが残っていた。

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競合のEMIは、出資元の英投資会社のテラファーマの債務不履行で米シティグループが今年2月に経営権を握った。シティは外部への売却を目指していると伝えられている。

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