2011/12/14

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア、パイプライン敷設計画を撤回

この記事の要約

ブルガリア政府は7日、ロシア産の石油を輸送する「ブルガス・アレクサンドロポリス・パイプライン」の敷設計画を撤回すると発表した。資金的に実現が難しいうえ、環境汚染のリスクが高いことが理由。2007年にロシア、ギリシャ政府と […]

ブルガリア政府は7日、ロシア産の石油を輸送する「ブルガス・アレクサンドロポリス・パイプライン」の敷設計画を撤回すると発表した。資金的に実現が難しいうえ、環境汚染のリスクが高いことが理由。2007年にロシア、ギリシャ政府と締結した同計画に関する3カ国合意を両政府の同意を得て破棄する方針だ。同意を得られない場合は、契約に従い、12カ月後に計画から撤退するとしている。

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同パイプラインは黒海沿岸のブルガス(ブルガリア)とエーゲ海沿岸のアレクサンドロポリス(ギリシャ)を結ぶもので、ロシアや中央アジア産の石油を、タンカー航行が限界に達しているトルコのボスポラス海峡を迂回して欧州に輸送するルートを確保するのが狙いだ。完成すると全長280キロメートルで、そのうち166キロメートルはブルガリアを通る。総工費は約10億ユーロと見積もられている。

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中道右派のブルガリア現政権は09年の発足当時から、「ブルガリアに不利な計画だ」として、中道左派の前政権が合意した同計画に反対していた。パイプラインの輸送能力は契約で年3,500万トンと決められており、ブルガリアのトランジット収入はせいぜい2,600万ユーロにすぎない。一方、少なくとも年40億ユーロに上る同国の観光収入は、パイプラインが通過する予定の黒海沿岸地域に依存している。欧州連合(EU)の自然環境保護ネットワーク「ナチュラ2000」の保護地区を含む同地域がパイプラインの原油漏れ事故などで汚染された場合、観光業は大きな痛手を受けることになる。このため、ブルガスをはじめとする黒海沿岸の自治体も、当初から敷設反対運動を繰り広げてきた。

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パイプライン計画を遂行する合弁会社「トランス・バルカン・パイプライン」にはロシアが51%、ブルガリアとギリシャが各24.5%の割合で出資している。ブルガリア政府は計画撤回後も、07年の合意に従い、同社に残金1,200万レフ(600万ユーロ)を支払う方針だ。ただ、撤回を理由に罰金を払う必要はないとの立場を示している。

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