2012/9/5

総合・マクロ

セルビアの中銀法は「EU法に抵触」、欧州委が加盟交渉への影響を警告

この記事の要約

今年3月にEU加盟候補国となったセルビアで、中央銀行の独立性を脅かしかねない内容の法律が成立したことに関連して、欧州委員会は同国が新法を撤回しない限り、EU加盟交渉に深刻な影響が及ぶとの警告を発した。中銀の金融政策に対す […]

今年3月にEU加盟候補国となったセルビアで、中央銀行の独立性を脅かしかねない内容の法律が成立したことに関連して、欧州委員会は同国が新法を撤回しない限り、EU加盟交渉に深刻な影響が及ぶとの警告を発した。中銀の金融政策に対する政治介入の可能性が高まったことで、市場では今年2月に凍結された国際通貨基金(IMF)による13億ドル規模の救済融資に関する交渉再開が遠のくといった見方も出ており、7月に発足したダチッチ政権の対応に注目が集まっている。

\

問題の法律は、中銀の運営に関する議会の権限強化を柱とする内容。ショシュキッチ総裁は中銀の独立性を脅かす新法に抗議して8月上旬に辞任し、議会が推す与党幹部のタバコビチ氏が新総裁に任命された。市場では中銀の権限が縮小されることで金融政策の透明性が損なわれ、EU加盟や救済融資の確保に向けたIMFとの交渉が難航するとの見方が高まっており、大手格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)とフィッチは先月、相次いでセルビア国債の格付けを引き下げている。

\

欧州委のフィーレ委員(拡大・欧州近隣政策担当)は8月30日、中銀法とEU法の整合性などについてセルビアのGrubjesic副首相(欧州統合担当)と会談を行った。フィーレ委員は会談後の会見で「中銀の独立性を制限するセルビアの新法はEU法に合致しない」と言明。「セルビアは自らの意思でEU加盟を望んでいる。今回の会談でセルビア側に目標達成に向けて法律や組織体制をEUルールに適合させるため、政府および当局者が適切な措置を講じることを期待すると伝えた」と述べた。

\
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |