2014/1/8

総合・マクロ

中東欧の銀行セクター、14年も厳しい見通し=フィッチ

この記事の要約

格付け会社フィッチ・レーティングスは先ごろ、2014年の中東欧8カ国(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、ルーマニア、ブルガリア、クロアチア)の銀行業界の見通しを発表した。これによると、中東欧諸国の景 […]

格付け会社フィッチ・レーティングスは先ごろ、2014年の中東欧8カ国(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、ルーマニア、ブルガリア、クロアチア)の銀行業界の見通しを発表した。これによると、中東欧諸国の景気回復は依然として弱く、セクター全体としては安定的ではあるものの厳しい状況が続き、一部の国では不良債権問題が足かせとなりそうだ。

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フィッチによると、ハンガリーとルーマニアの銀行セクターは、リスクバランスが下向きであることから見通しはネガティブであり、ブルガリアとクロアチアについても銀行にとって不利なトレンドが続くとした。一方、ポーランド、スロバキア、チェコの銀行に関しては、地域の平均を上回る業績が期待できるとした。

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中東欧諸国の国内総生産(GDP)の平均成長率は2%と、13年の0.6%から改善する見通し。フィッチは、こうした景気回復の進展は銀行セクターの安定化に貢献すると指摘する一方で、景気回復の足取りは依然弱く、外的要因に大きく左右されるとしている。

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景気と密接に関連する貸出需要の動向は、国ごとに大きく異る。景気が底堅さを見せているポーランド、スロバキア、チェコの3カ国ではすでに貸出の緩やかな回復が見られ、14年もこの傾向が続くと見られるが、その他の国では回復のペースは鈍くなる。フィッチによると、貸出の伸びによる収益へのプラス効果は、地域全体の低金利環境から来る純金利マージンへの圧迫によって限定的なものにとどまる。

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また、銀行の資産の質改善ははかどらず、不良債権残高は高水準にとどまる見通しだ。莫大な不良債権の存在は銀行のリスク回避姿勢を強め貸出の抑制につながり、企業活動を阻害する。中東欧の銀行は不良債権問題の解決にさまざまな手法で取り組んでいる。最も不良債権問題が深刻なスロベニアでは、バッドバンク(不良資産買い取り機関)を創設し、不良資産の移管を進めている。

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