2014/6/18

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ルーマニア国営電力会社が7月にIPO

この記事の要約

ルーマニア政府は11日、国営電力供給会社エレクトリカの新規株式公開(IPO)計画を明らかにした。政府が保有する発行済み株式のうち51%を、ブカレストとロンドンの証券取引所に上場する。資金の調達額は19億4,900万レウ( […]

ルーマニア政府は11日、国営電力供給会社エレクトリカの新規株式公開(IPO)計画を明らかにした。政府が保有する発行済み株式のうち51%を、ブカレストとロンドンの証券取引所に上場する。資金の調達額は19億4,900万レウ(4億3,500万ユーロ)~23億9200万レウ(5億3,300万ユーロ)を見込んでおり、ルーマニア企業のIPOとしては過去最大級という。初取引は7月3日の予定。

公募価格の仮条件は11~13.5レイに設定した。16~26日にブックディルディングを行い、市場の反応を見極めたうえで売り出し価格を最終決定する。市場で調達した資金は老朽化したインフラの近代化に充てる。

エレクトリカの民営化は、ルーマニア政府がリーマンショックに伴う金融危機でEU(欧州連合)や国際通貨基金(IMF)などから総額40億ユーロのスタンドバイローンを取り付けた際に条件として求められた国有資産売却の一環。

エレクトリカの13年売上高は11億7,000万ユーロ、最終利益は7,100万ユーロだった。

■オルトキムは民営化失敗

一方、ルーマニアの国営化学会社オルトキムは6日、完全民営化を12月まで延期することを明らかにした。政府保有株売却入札期限となった同日までに応札がなかったため。今後半年かけて現在の稼働率27%を最大40%まで引き上げるなどで赤字額を大幅に改善し、投資対象としての企業の魅力を高めるよう努めるとしている。

オルトキムは国内中南部のリムニクビルチャを本拠地とし、PVC、苛性ソーダ、酸化プロピレンなどを製造する。14年1-3月期業績は、売上高が稼働率の向上から前年同期比65%増の1億3,600万レウに拡大、赤字幅は8,600万レウから5,622万レウに縮小した。

オルトキムもエレクトリカ同様、IMFなどのスタンドバイローンの交換条件として求められていた国有資産売却の一環だが、赤字続きで財務状況は悪く、2012年秋に売却を試みたものの失敗。13年1月に破産申請した後、債務整理して更生され、現在、国が出資シェア55.7%を保有する。

今回応札しなかったが売却先の有力候補とされるのは、中国の宝塔石化集団(Baota Petrochemical)と君倫石油技術開発(Junlun Petroleum)による企業連合で、オルトキムに2,500万ユーロを融資し、株式先買権を確保したという。