2015/2/11

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

エルドアン大統領、政敵支持者の銀行を国の管理下に

この記事の要約

トルコ金融規制監視庁(BDDK)は3日、銀行規正法違反を理由に、イスラム銀行大手のアスヤ銀行を国の管理下に置いた。ただ、アスヤ銀行のオーナーが、エルドアン大統領の政敵であるフェトフッラー・ギュレン氏の支持者であることから […]

トルコ金融規制監視庁(BDDK)は3日、銀行規正法違反を理由に、イスラム銀行大手のアスヤ銀行を国の管理下に置いた。ただ、アスヤ銀行のオーナーが、エルドアン大統領の政敵であるフェトフッラー・ギュレン氏の支持者であることから、政治的思惑が背景にあるとみられている。

BDDKは、アスヤ銀行が経営の透明性を義務付ける銀行規正法に違反し、監査ができない状態にあると説明。ギュレン氏の支持者が保有する株式63%を預金保険基金(TMSF)に移管した。また、従来の経営陣を解任し、新経営陣を任命した。

解任されたアフメト・ベヤズ前頭取は6日、今回の措置の理由が、BDDKへの書類提出期限を株主の63%が守れなかったことにあると確認。提出書類が多岐に渡るため、BDDKに期限延長を申請したが拒否されたと説明した。また、不良債権が増えてはいるものの、経営を脅かすほどの問題ではないと話した。株主は、今回の措置を不服として訴訟を起こす方針であるという。

ギュレン氏はイスラム教指導者で、エルドアン大統領とはかつて協力関係にあった。しかし、2013年12月に与党の有力政治家を中心とする汚職疑惑が発覚したのを機に、立場の違いが鮮明化した。以来、ギュレン派が多いとされる司法・警察機関の人事入れ替えや、ギュレン系メディアの記者逮捕など、政府による攻撃が強まり、アスヤ銀行もエルドアン大統領が「破綻同然」と発言するなど、標的となってきた。

トルコは経常赤字を抱え、国際機関・投資家による金融投資を必要としている。今回の措置で政府や規制当局への信頼が揺るぎ、借入れ金利が高まるとの懸念も浮上している。

なお、イスラム銀行は、利子の徴収を禁じるイスラム教の狭義に基づいて運営される金融機関を指す。利子と異なる形で利潤を得る仕組みになっている。