2015/5/27

総合・マクロ

ポーランド大統領選、右派のドゥダ氏が当選

この記事の要約

ポーランドで24日行われた大統領選挙の決選投票は、野党・法と正義(PiS)が推薦するアンジェイ・ドゥダ候補(43)が現職のブロニスワフ・コモロフスキ候補(市民プラットホーム)を破って当選を決めた。終始優勢が伝えられていた […]

ポーランドで24日行われた大統領選挙の決選投票は、野党・法と正義(PiS)が推薦するアンジェイ・ドゥダ候補(43)が現職のブロニスワフ・コモロフスキ候補(市民プラットホーム)を破って当選を決めた。終始優勢が伝えられていたコモロフスキ候補が落選したことで、10月の議会選を控えるポーランドが右傾化する懸念も出てきた。

中央選管の25日発表(開票終了)によると、ドゥダ候補が51.5%、コモロフスキ候補が48.5%を得票した。景気が良好な西部やバルト海沿岸地域でコモロフスキ候補がリードしたのに対し、ドゥダ候補は失業者の多い東部や東南部で票を集めた。また、最も若い有権者層が2007年から続く市民プラットホーム政権に対する抗議票をドゥダ候補に投じたことも大きい。投票率は54%だった。

大統領選まで無名に近かったドゥダ氏は、PiSのヤロスワフ・カチンスキ―党首が自ら落選の憂き目をみないよう、その身代わりとして擁立されたといわれる。しかし、カチンスキ―党首と異なる控えめかつ穏健な言動が有権者に好感を与えたようだ。当選後の演説でも、「すべての国民に開かれた大統領府」を唱えるなど、対立ではなく融和・共同歩調を重視する姿勢を示している。

ポーランドでは政治主導権は首相にあるが、大統領も法案の提出権や拒否権を有するなど、比較的強い権限を持つ。ドゥダ氏の政治的スタンスは明確でなく、これを見定めるには8月の大統領就任後の動向を待つ必要がある。

公約には◇年金受給開始年齢の引き下げ◇児童手当の増額◇子ども扶養控除の拡大◇北大西洋条約機構軍のポーランド駐留◇エネルギー部門の環境対策緩和◇金融機関・流通大手に対する課税強化◇スイスフラン建て住宅ローンをズロチに有利なレートで換算――などが含まれる。

ドゥダ氏は法律家で、2010年に航空機墜落事故で死亡したレフ・カチンスキー大統領の大統領府次官を務めた経歴を持つ。現在は欧州議会議員(欧州保守改革グループ)だが、大統領就任とともに辞職することになる。