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2010/3/3

経済産業情報

高級車の収益力低下が深刻に=マッキンゼー調査

この記事の要約

高級車の収益性が根底から揺らいでいる。コンサルティング大手のマッキンゼーが2月24日発表した自動車産業レポートによると、高級車と大衆車の境界が不明確になってきたほか、車に対する価値観が変化し高級ブランドに出費を惜しまない […]

高級車の収益性が根底から揺らいでいる。コンサルティング大手のマッキンゼーが2月24日発表した自動車産業レポートによると、高級車と大衆車の境界が不明確になってきたほか、車に対する価値観が変化し高級ブランドに出費を惜しまない人が減っていることが背景にある。高級車の収益性が落ち続ければ自動車産業の存続が危機にさらされるとマッキンゼーは警鐘を鳴らした。

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同レポートによると、世界の自動車メーカーは2006年、大衆車部門で500億米ドルの赤字を計上したものの、高級車部門の利益1,000億ドルに支えられ業界全体で500億ドルの黒字を確保した。しかし、高級車が自動車産業の屋台骨を担うという構造は急速に崩壊しており、代表的な高級車ブランドであるBMW、メルセデス・ベンツ、アウディの合計利益は2006年の68億5,000万ユーロから09年には5億5,000万ユーロへと激減した。

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マッキンゼーの担当者は、◇高級車と大衆車の区別があいまいになり、「大型車=高級車」といった単純な図式が成り立たなくなった◇大衆車メーカーが高級車市場に参入し、競争が激化した◇以前なら高級車にしか搭載されなかった最先端技術がすぐに大衆車に広まり、差別化が困難になった◇ステータスシンボルとしての自動車の価値が若い世代を中心に低下している――ことなどが原因で、特定モデルの価格を同じ排気量の別のモデルより高く設定することが難しくなってきたと指摘する。また、経済危機による販売減で窮地に追い込まれた高級車ブランドが値引きに走ったことで「プレミアムブランド」のイメージに傷がついたことも痛手だとしている。

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高級車ブランドがかつての優位性を取り戻すには、技術、デザイン、大衆車と明確に一線を画すブランド戦略、顧客一人一人に照準を合わせたサービスやマーケティングなどが必要だという。

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