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2012/1/18

経済産業情報

ザクセンで希土類鉱床開発へ 含有量少なく採掘は高コストに

この記事の要約

ハイデルベルクの資源開発会社Deutsche Rohstoff AGが、ザクセン州西北部にある希土類鉱床の調査・開発に乗り出す。同社は10日、新事業に向けて子会社「Seltenerden Storkwitz AG」(本社 […]

ハイデルベルクの資源開発会社Deutsche Rohstoff AGが、ザクセン州西北部にある希土類鉱床の調査・開発に乗り出す。同社は10日、新事業に向けて子会社「Seltenerden Storkwitz AG」(本社:ケムニッツ)を設立。国内の投資家から220万ユーロの資金を確保しており、年内にも株式公開(IPO)によってさらなる資金を調達し、活動を本格化させる意向だ。

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Deutsche Rohstoffが開発するのは、ライプチヒ近郊のデーリチュにあるシュトルクヴィッツ鉱床だ。同鉱床は1970年代に東ドイツ(当時)が実施したウラン探索調査で発見された。当時の推定で希土類含有鉱物の埋蔵量は3万8,000トン、これ以外にニオブ8,000トンが見込まれている。ただ、東ドイツ政府の関心はウランの獲得にあったため、希土類の鉱床は開発されることなく、放置された経緯がある。

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しかし、希土類への需要増を背景に、この忘れられた鉱床開発への機運がにわかに高まった。Deutsche Rohstoffは07年にシュトルクヴィッツ鉱床の探査権を取得して鉱床周辺の地質調査に着手、子会社設立への準備を進めてきた。

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同鉱床の商業化は大きな困難を伴うとみられる。『Spiegel』誌(電子版)によると、希土類鉱石の含有量は全元素合わせて0.48%程度と低いうえ、鉱床の形態は地中に向かって垂直に伸びる格好をしており、採掘に多額のコストがかかる。東ドイツ政府は775メートルまでボーリング調査を実施したが、Deutsche Rohstoffの関係者は、新たな調査ではさらに深部まで調べる必要があると指摘する。

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