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2012/1/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

社用車での通勤は私的利用に当たらず

この記事の要約

社用車を私的に利用することは雇用主からの非金銭的な便宜とみなされ、課税所得に加算される。加算方法は(1)車両のカタログ記載価格の1%を毎月の課税所得に上乗せする(2)運行記録をつけ、私的目的で走行した距離の分だけを上乗せ […]

社用車を私的に利用することは雇用主からの非金銭的な便宜とみなされ、課税所得に加算される。加算方法は(1)車両のカタログ記載価格の1%を毎月の課税所得に上乗せする(2)運行記録をつけ、私的目的で走行した距離の分だけを上乗せする――の2つがある。(2)は手間がかかり面倒なため、大抵の人は(1)の「1%ルール」を選ぶようだ。

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さて、この「私的利用」だが、実は税務当局と納税義務者の係争の種となりやすい。ここでは税務問題の最高裁である連邦税務裁判所(BFH)が昨年10月に下した判決(訴訟番号:VI R 56/10)に即してこの問題をお伝えする。

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裁判を起こしたのはBMWを取り扱う自動車ディーラーの社員。同社員は試乗用の車両を支店間の移動や通勤に使うことを認められており、実際に業務と通勤に利用していた。私的利用は労働契約で禁止されていた。

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運行記録はつけていなかった。このため、税務当局は同社員が私的な目的でも利用していたと判断。1%ルールに基づいて追徴課税を行った。

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同社員はこれを不服として提訴。第1、第2審で敗訴したものの、最終審の連邦税務裁は下級審判決を破棄した。判決理由で裁判官は、通勤での社用車利用は税法上、私的利用に分類されていないと指摘。原告が実際に業務と通勤でしか利用していなかったのであれば、課税されないとの判断を示した。

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そのうえで、下級審の審理では原告が暗黙の了解で雇用主から私的利用を認められていたかどうかが解明されていないと指摘。この点を明らかにしたうえで判決を下すようニーダーザクセン州税務裁判所に命じた。

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