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2012/2/29

経済産業情報

バイオ燃料が食料価格に与える影響は「限定的」=業界団体

この記事の要約

独バイオ燃料産業連合会(VDB)は22日、バイオ燃料が世界の食糧価格に与えてきた影響はこれまでの推定よりもはるかに小さいとする内容の調査報告書を発表した。価格を押し上げている大きな原因は原油などのエネルギー価格高騰や世界 […]

独バイオ燃料産業連合会(VDB)は22日、バイオ燃料が世界の食糧価格に与えてきた影響はこれまでの推定よりもはるかに小さいとする内容の調査報告書を発表した。価格を押し上げている大きな原因は原油などのエネルギー価格高騰や世界の人口増加、生活水準向上による需要増、悪天候による収穫量の減少などにあり、「バイオ燃料の需要増が食料供給の圧迫や価格高騰を招いている」とする批判は必ずしも当たらないと反論した。

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VDBと植物たんぱく質・油脂食品推進連盟(UFOP)の委託を受けてギーセン大学のミヒャエル・シュミッツ教授が実施した調査によると、バイオ燃料の生産によって農産原料価格は確かに押し上げられているものの、バイオ燃料がどの程度、価格上昇に影響したかについては、研究によって「ほとんどない」から「66%責任がある」までばらつきが大きく、一致した見解は得られていない。

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シュミッツ教授は、各国の農作物価格は政府の補助金や価格統制によって管理されているケースが多く、世界市場での取引価格の上昇が各国の食料価格上昇に直結することはないと指摘。また、経済的に貧しい開発途上国では輸送インフラが整備されていないため、国外からの輸入によって食糧需要を賄う道は実質的に閉ざされており、世界市場価格の高騰で国内食料需給がひっ迫するという図式は成り立たないとして、バイオ燃料を「諸悪の根源」とみなす昨今の風潮を批判した。

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