欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/7/16

経済産業情報

洋上風力発電パークで技術トラブル、3カ月以上稼働できず

この記事の要約

度重なる計画の変更や遅延の末、昨年8月末にようやく完成した洋上ウィンドパーク「バード・オフショア1(Bard Offshre 1)」が、ここ3カ月以上、運転できない状態となっている。技術的なトラブルが原因であるものの、障 […]

度重なる計画の変更や遅延の末、昨年8月末にようやく完成した洋上ウィンドパーク「バード・オフショア1(Bard Offshre 1)」が、ここ3カ月以上、運転できない状態となっている。技術的なトラブルが原因であるものの、障害は特定されておらず、復旧のめどはたっていない。

バード・オフショア1はボルクム島の北約100㎞の洋上に建設された、風力タービン80基からなる大型ウィンドパーク。総出力は400メガワットで、北海の洋上ウィンドパークとしてはこれまでで最大の規模を持つ。

同ウィンドパークではトラブルが相次いでいる。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、稼働開始直後の9月の通常点検で早くも不具合が見つかり、修理のためほぼ3カ月間、停止した。その後も変電設備や送電ケーブルでトラブルが数回発生し、そのたびに安全システムが作動して発電機が送電網から自動的に切り離されている(供給離脱)。3月末には変電プラットフォームで電子部品が発火する事故が起こり、運転が停止。この修理が終わり、運転再開しようとしていた矢先の6月末にブレーカーが落ち、現在に至るまで発電できないでいる。

関係者は接続している発電設備と受変電設備の規格が異なることが原因ではと推測しているものの、正確には不明だ。また、供給離脱と3月の発火の関連も解明されていない。原因が分からないため、発電停止で発生した損害を誰が賠償するかも判断できないでいる。

昨年に施行された改正エネルギー経済法(EnWG)によって、洋上風力発電の送電障害で発生した損失が一定額を超えた場合、需要家である消費者や企業に負担を転嫁できるようになったため、最終的に消費者などがしわ寄せを受ける可能性がある。