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2014/8/27

経済産業情報

独クルーズ客船で痛手、三菱重工の新受注はなしか

この記事の要約

三菱重工業が大型クルーズ客船の建造事業から撤退する可能性が出てきた。独アイーダ・クルージズから受注した計2隻(「アイーダ・プリマ」「アイーダ・ミア」)の建造で大きな痛手を負っているためだ。独経済紙『ハンデルスブラット』が […]

三菱重工業が大型クルーズ客船の建造事業から撤退する可能性が出てきた。独アイーダ・クルージズから受注した計2隻(「アイーダ・プリマ」「アイーダ・ミア」)の建造で大きな痛手を負っているためだ。独経済紙『ハンデルスブラット』がアイーダや業界関係者の情報として25日報じた。三菱重工は同紙の問い合わせに「クルーズ客船事業の今後について協議しているとことだ」と回答した。

三菱重工は2011年、アイーダからアイーダ・プリマとアイーダ・ミアを受注した。応札価格を低く抑えることで、競合の独マイヤー造船所に競り勝った格好だ。アイーダが現在、運行するクルーズ客船10隻のうち7隻はマイヤーが手がけている。

三菱重工は商船分野で低コストを武器とする韓国勢などの追い上げを受けてクルーズ客船事業に本格参入。アイーダから受注を獲得した。だが、客船は仕様が汎用化されている商船と異なり、部品点数が多くサプライヤーを束ねるのが難しい。また、アイーダから受注した船舶は一から設計した関係で作業が難航したほか、大幅な仕様変更もあったため、1番船(アイーダ・プリマ)の納入は当初予定の15年3月から同10月にずれ込む見通しだ。三菱重工は多額の工事損失を受けて、14年3月期決算で総額600億円(約4億2,500万ユーロ)の特別損失を計上した。

ハンデルスブラット紙によると、三菱重工が大型客船事業から撤退すると、アイーダから客船を受注できるのは実質的にマイヤー造船所1社になるという。同造船所は今月上旬、経営難の韓STXグループからフィンランド南部のトゥルクにある造船所(STXフィンランド)を買収することで合意しており、クルーズ客船の受注能力は高まる見通しだ。